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事業別ポイント・19年度予算案

2018-12-21 11:15

◇避難者の早期帰還へ890億円
東日本大震災からの復興関連では、東京電力福島第1原発事故による長期避難者の早期帰還促進に向け「福島再生加速化交付金」を890億円計上した。帰還困難区域内の復興拠点で除染や家屋解体などを行う。
被災者支援では、復興段階に応じた心身のケアやコミュニティーの形成・再生に重点を置く。被災児童や教職員の心のケアも継続する。東北の観光の復興に49億円を盛り込んだ。地域の発案による訪日外国人旅行者の誘客や、福島県による教育旅行の受け入れ、国内プロモーションの強化を支援する。
◇観光予算、出国税で大幅増
観光庁の予算案は前年度比141.7%増の665億9600万円で過去最高となった。2019年1月に導入する国際観光旅客税(出国税)の税収485億円を観光関連の事業費に充てる。
出国税収を活用し、訪日客誘致に向け空港の出国手続きを迅速化する「顔認証ゲート」の増配備を進める。また、無線通信Wi―Fi(ワイファイ)の無料サービスの充実をはじめ公共交通の利用環境向上を支援する。
◇スポーツ予算は過去最高
2020年の東京五輪・パラリンピックや19年のラグビーワールドカップ(W杯)を控え、文部科学省のスポーツ関係予算は前年度比10億円増の350億円で過去最高となった。日本代表選手のメダル獲得に向け、活躍が期待されるアスリートの発掘・育成など競技力向上に100億円を計上した。
一方、スポーツ界での暴力事件やパワーハラスメントなど相次ぐ不祥事を受け、関連団体のコンプライアンス(法令順守)強化事業費は前年度の1.8倍に増加。このほか、障害者スポーツ推進などにも重点を置いた。
◇新幹線、総事業費3963億円
整備新幹線の工事費は、事業費ベースで前年度比13.9%増の3963億円となった。このうち、国費は37億円増額し792億円。北海道新幹線(新函館北斗―札幌間)、北陸新幹線(金沢―敦賀間)、九州新幹線長崎ルート(武雄温泉―長崎間)の建設などに充てる。
北陸と九州の2区間で、労務単価の上昇などから建設事業費が計3451億円膨らんだことを受け国費を増額した。政府は2区間の建設について、国鉄時代の新幹線を譲渡されたJR東日本、東海、西日本3社からの「譲渡収入」や、財政投融資の活用により生じた余剰資金なども充当して、開業目標の2022年度までの財源を確保する方針。
◇大規模停電対策で120億円=拠点給油所に自家発設備
原発・エネルギー関連予算では、9月の北海道地震で大規模停電(ブラックアウト)が起きたことを踏まえ、地域住民の燃料供給拠点となる給油所に自家発電設備を導入する費用などとして、120億3000万円を計上した。前年度比5倍の規模で、災害対応能力を強化する。
原子力関係では、経済性や安全性に優れた新型炉の開発に6億5000万円を新規で計上。フランスと共同開発中の高速炉の研究費は41億5000万円で、前年度から9億5000万円減少した。仏政府が開発計画の縮小を表明した影響が及んだ可能性がある。
◇水産資源の調査に55億円=「スマート農業」支援
農林水産関係予算は前年度当初比5.6%増の2兆4315億円となった。水産改革推進のため、関連予算を手厚く確保。水産資源の調査・評価費用として55億円を計上した。
沿岸漁業者に高性能の漁船や漁具を割安価格で貸し出す事業に100億円、水産物の生産と加工・流通を連携させる取り組みには14億円を充てる。
農業分野では、ロボットや人工知能(AI)を活用した「スマート農業」の技術開発や実証実験に31億円を充当。農林水産物・食品の輸出額を1兆円に伸ばす政府目標の達成に向けては、海外事業者との商談支援などとして40億円を計上した。
◇外相チャーター機代6倍=日本語教育拡充に10億円
外務省の2019年度予算案は、前年度当初比4.9%増の7306億円となった。頻繁に外国を訪れる河野太郎外相の出張費として、チャーター機代などに前年度の6倍の約4億円を計上。出入国管理法改正に伴う外国人就労拡大に向け、海外での日本語教育の拡充に約10億円を盛り込んだ。
予算増額分の大半は、20カ国・地域(G20)首脳会議など19年に相次ぐ日本開催の国際行事の関連費が占める。政府開発援助(ODA)は、無償資金協力の増額や、実施主体となる国際NGOへの支援拡大により、前年度当初費0.7%増の4376億円を計上した。
◇G20などに319億円
2019年に国内で相次ぐ外交行事に関し、外務省は319億円を計上した。6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議や、11月の名古屋市での外相会議など関連会合の開催経費に257億円を充てた。8月に横浜市で催す第7回アフリカ開発会議(TICAD)首脳会合関係では12億円を計上した。
新天皇即位を公に知らせる10月の即位礼正殿の儀などをめぐり、多数の外国要人の参加が見込まれるため、日本滞在費用17億円などを盛り込んだ。
◇サイバー防衛隊を強化
防衛省は「サイバー防衛隊」を強化。年々高度化するサイバー攻撃に対応するため、人員を約150人から約220人に増員する。サイバー攻撃に関する情報収集装置の整備に36億円を計上した。
警察庁のサイバー対策費は39.1億円。政府機関や民間企業を狙ったサイバー犯罪に対する捜査・情報解析に必要な資機材の整備を進める。
経済産業省は、サイバーセキュリティーの中核を担う人材育成や攻撃の被害を受けた企業への対応などに40.3億円を計上。総務省は、IoT(モノのインターネット)の普及に伴い増大するサイバー攻撃の脅威に対応するため、利用者の啓発などに14.6億円を充てる。
◇サミット警備・テロ対策推進
警察庁は、天皇陛下の退位と皇太子さまの即位に伴う式典や大阪で開催される20カ国・地域(G20)首脳会議の警戒警備、テロ対策の推進などに332億円を計上した。
テロ対策108億円のうち88億円は2020年の東京五輪・パラリンピックの準備経費。爆弾テロ対応の装備資機材を配備する。また、離島への不法上陸があった場合に備え、部隊を運ぶ大型ヘリコプターを福岡、沖縄両県警に1機ずつ導入するなど、緊急事態への対処能力向上を図る。機体の納入は20年度になる見通し。
[時事通信社]

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