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徴用工訴訟

新日鉄住金に賠償命令=徴用工訴訟で韓国最高裁―河野外相、大使呼び抗議

2018-10-30 20:56

【ソウル時事】第2次大戦中、日本の植民地支配を受けていた朝鮮半島から日本本土の製鉄所に徴用された韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)を相手取り、損害賠償を求めた訴訟で、韓国最高裁は30日、新日鉄住金側の上告を棄却し、1人当たり1億ウォン(約1000万円)の賠償を命じた二審判決が確定した。日本企業に賠償を命じる判決が確定したのは初めて。最高裁は2012年、「個人請求権は消滅していない」として高裁に審理を差し戻しており、この判断を踏襲した。
日本政府は、1965年の日韓請求権協定により、個人分を含む請求権問題は「完全かつ最終的に解決済み」との立場。韓国最高裁は判決で「強制動員の慰謝料(賠償)請求権は、協定の適用対象に含まれているとみることはできない」と結論付けた。日本政府の見解を全面否定した形で、韓国政府の対応次第では日韓関係を揺さぶる外交問題に発展するのは避けられない。
安倍晋三首相は記者団に「国際法に照らしてあり得ない判断だ。毅然(きぜん)と対応する」と表明。河野太郎外相は李洙勲駐日韓国大使を呼び、抗議した。
一方、韓国の李洛淵首相は「(最高裁の)判断を尊重し、関連事項を綿密に検討する」と説明。「関連部署や民間専門家らと共に、さまざまな要素を総合的に考慮し、政府の対応策を用意していく」と表明した。
新日鉄住金は「日韓請求権協定と日本政府の見解に反するもので、極めて遺憾。判決内容を精査し、日本政府の対応状況なども踏まえ、適切に対応する」とのコメントを出した。
進行中の10件以上の元徴用工らの訴訟で同様の判決が相次ぐのは必至で、日本企業が賠償に応じなければ、韓国国内にある資産が差し押さえられる可能性がある。韓国政府に申告されている「強制動員被害者」は22万人を超え、日本企業を相手取る賠償請求訴訟が続発する恐れもある。日韓の経済関係も大きな打撃を受けそうだ。
韓国最高裁は個人請求権を認めた12年の判断で時効も認めなかった。これを受け、13年の差し戻し控訴審で、ソウル高裁が新日鉄住金に対し1人当たり1億ウォンの賠償を命令。同社は「国家間の合意を否定するなど不当な判決だ」として上告したが、裁判は事実上、ストップしていた。最高裁は今年8月、判事全員が参加する審理を開始した。審理に参加した13人のうち、「協定により個人請求権利行使は制限される」として賠償責任認定に反対意見を表明したのは2人にすぎなかった。
元徴用工の訴訟をめぐっては、最高裁が日韓関係の悪化を懸念した朴槿恵前政権の意向をくみ、判決を先送りしていた疑惑が浮上。最高裁関係者が逮捕されている。
[時事通信社]

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