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米中貿易摩擦

日本、TPP早期発効が最優先=対米FTAを警戒

2018-01-06 17:15

世界最大の市場を有する米国でトランプ政権が自国第一の通商戦略にかじを切ったことは、環太平洋連携協定(TPP)の結束に依然影を落としている。アジア太平洋の経済覇権をめぐる米国、中国の綱引きも絡み、2018年は日本の指導力が問われそうだ。
日本が最優先課題に掲げるのは、TPPの早期署名・発効だ。TPPは米国が抜けた後、日本が主導して昨年11月に11カ国で合意にこぎ着けた。目指す3月上旬までの署名式開催は、交渉最終盤で難色を示したカナダが波乱要因。日本はカナダに協調行動を促すため、残る10カ国で共同声明を出す可能性を探っている。「トランプ後」の米復帰に望みをつなぎつつ、英国を誘致する青写真を描くなど、TPPの枠組み拡大にも思案をめぐらせている。
今後の経済連携を占う試金石とされるのが、米国、カナダ、メキシコによる北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉だ。3月をめどとする交渉妥結は依然見通せない。米国内では離脱論もくすぶる。カナダは難航する再交渉の行方を見極めた上でTPPへの態度を決める意向とみられる。
日本は対岸の火事ではない。NAFTA再交渉が暗礁に乗り上げれば、米国が今秋の中間選挙や国内の支持回復をにらみ、自国の要求を突き付けやすい日米自由貿易協定(FTA)交渉入りを一層強く求めてくる可能性があるためだ。
そんな中、存在感を高めているのが中国。アジアと欧州を結ぶ独自の経済圏構想「一帯一路」を前面に出し、関係国への影響を強めている。その中国に対し、米国は巨額の貿易赤字縮小へ国内法を根拠に一方的な制裁措置の発動を検討中で、新たな貿易摩擦に発展する様相を呈している。
日中韓など16カ国が合意を急ぐ東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉も、日本が唱えるTPP並みの高水準のルール実現には課題が山積みだ。北朝鮮核開発問題で周辺国に協力を仰ぐ局面も想定される。日本政府関係者は「米中、米欧の仲介役を担うなど大国を取り込む柔軟な立ち回りが必要になる」と話している。
[時事通信社]

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