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慰安婦合意

板挟みの文在寅政権=対北朝鮮・慰安婦問題

2018-01-10 19:15

【ソウル時事】北朝鮮との会談を再開した韓国の文在寅政権は同時に、慰安婦問題をめぐる日韓政府間合意で新方針を打ち出した。北朝鮮との関係改善を目指す一方で、国際社会からは逆に核問題での圧力強化を迫られる。慰安婦問題では日本から合意の「着実な履行」を求められる中、市民団体は合意破棄を主張。文大統領は独自の対北朝鮮・外交政策で主導権を発揮したい考えだが、いずれの問題も、国際社会とのはざまで板挟みになりつつあり、思惑通りに進むかは不透明だ。
「南北対話の実現で功績は非常に大きい」。文大統領は10日の記者会見で、米メディアの記者の質問に対し、トランプ米大統領を持ち上げてみせた。さらに、国際社会が強める対北朝鮮制裁と「歩調を合わせる」と強調。各国との連携を差し置いて、制裁を解除する考えを否定した。
だが、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞(電子版)は10日、「外国勢力に依存していては、南北関係の問題を解決できない」と訴える解説を掲載。同じ「民族」を強調して韓国を取り込み、圧力をかける日米から離間させ、国際社会の連携を切り崩す狙いがうかがえる。
北朝鮮は9日の南北閣僚級会談で米韓合同軍事演習の中止を求めるなど従来の立場を繰り返した。米国は冬季五輪後に演習を実施する考えとされるが、北朝鮮が強く反発するとみられ、対話ムードを維持したい韓国は米朝間で難しい判断を迫られる。
一方、元慰安婦の支援団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)」は10日、日韓合意の破棄を改めて要求。挺対協は9日、康京和外相が日本政府に再交渉を求めない考えを示すと、「外交的な問題を理由に法的責任を問わないのは受け入れられない」と不満をあらわにした。
一方、合意の着実な履行を求め続ける日本政府の姿勢がぶれることはない。菅義偉官房長官は10日の記者会見で、「さらなる措置を求めてくることについては全く受け入れることはできない」と強調。文大統領は記者会見で「心を尽くした謝罪」を求めたが、日本側に一切応じる気配はなく、事態打開に向けた糸口は見えていない。
[時事通信社]

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