特集


天皇退位

最終報告要旨=天皇退位

2017-04-21 19:17

天皇陛下の退位に関する政府有識者会議の最終報告の要旨は次の通り。
【最終報告の取りまとめに至る経緯】
今年1月の論点整理の公表は、国民の理解と関心を深めた。同3月に、衆参両院の正副議長から立法府の議論のとりまとめが政府に伝えられた。この中で、今上陛下の退位を可能とするための立法措置として、皇室典範の付則に特例法と典範の関係を示す規定を置くとされた。安倍晋三首相の「直ちに法案の立案に取り掛かり、速やかに法案を国会に提出する」との発言を踏まえ、退位後の称号などの課題について議論を進めた。
【退位後のお立場等】
検討に当たり、退位後の天皇と新天皇の間で象徴や権威の二重性の弊害を生じさせないなどの観点に留意することが求められる。
1 退位後の天皇とその后の称号
(1)退位後の天皇
退位後の天皇の称号として定着してきた歴史と、象徴・権威の二重性回避の観点から、現行憲法下で象徴天皇であった方を表す新たな称号として「上皇」とする。国際的にも「上皇」の概念が正しく理解されるよう、適切な英訳が定められることが望ましい。
(2)退位後の天皇の后
天皇陛下と常にご活動を共にされてきた皇后陛下にふさわしい称号は、「上皇」という新たな称号と一対になる称号とすることが望ましい。「上皇」の后として「上皇后」とする。
2 退位後の天皇とその后の敬称
天皇、皇后、太皇太后、皇太后との整合性から「陛下」とする。
3 退位後の天皇の皇位継承資格の有無
公務の継続が将来的に困難になるという退位の理由を踏まえ、皇位継承資格は有しない。
4 退位後の天皇とその后の摂政・臨時代行就任資格の有無
(1)退位後の天皇
退位の理由を踏まえるとともに、象徴・権威の二重性回避のため、有しない。
(2)退位後の天皇の后
皇后、太皇太后、皇太后との整合性から就任することを妨げない。
5 退位後の天皇とその后の皇室会議議員就任資格の有無
(1)退位後の天皇
退位の理由を踏まえるとともに、象徴・権威の二重性回避のため、有しない。
(2)退位後の天皇の后
皇后、太皇太后、皇太后との整合性から就任することを妨げない。
6 退位後の天皇とその后の皇籍離脱の可否
天皇、皇后、皇太子、皇太子妃との整合性や、先代の天皇・皇后が一般国民としてご活動をされることは象徴としてお務めを果たされた天皇とその后の在り方としてふさわしくないことに鑑み、皇籍を離脱することはない。
7 退位後の天皇が崩御した場合における大喪の礼の実施の有無
天皇のご葬儀と同様、国の儀式とすることが適当であることから、大喪の礼を行う。具体的な内容は閣議決定等により定められる。
8 退位後の天皇とその后の陵墓
歴史上、退位の有無にかかわらず、例外なく「陵」と称されていることや、皇后、太皇太后、皇太后との整合性から「陵」とする。
【退位後の天皇とその后の事務をつかさどる組織】
昭和天皇が崩御した際に、当時の皇太后陛下の事務をつかさどる独立した組織が置かれた経緯や、歴史上の通例を踏まえ、独立した組織を設ける。組織の名称は「上皇職」とし、「上皇侍従長」と「上皇侍従次長」を置く。
【退位後の天皇とその后にかかる費用等】
1 費用
皇室経済法で太皇太后や皇太后にかかる日常の費用が内廷費から支出されていることに鑑み、内廷費から支出する。
2 承継される由緒物への課税の有無
相続でも退位でも、皇位継承に伴う由緒物の承継に変わりないことから、相続の場合と同様に贈与も非課税とする。
【退位後の天皇のご活動の在り方】
象徴・権威の二重性の懸念は、退位後にどのようなご活動をされるかによるところが大きい。宮内庁による「陛下が象徴としてなされてきた行為は、基本的に全て新天皇にお譲りになるものと理解している」との整理が、二重性回避の観点から適切だ。
【皇子ではない皇位継承順位第1位の皇族の称号等】
今上陛下の退位が実現し、皇太子さまが即位した場合、皇室典範上、秋篠宮さまは皇位継承順位第1位の皇族として「皇嗣」となられる。そのお立場の重要性やご活動の拡大に鑑み、そのお立場にふさわしいものとすることが必要だ。
1 称号
仮に、秋篠宮さまを皇太子とすれば、皇室経済法上、秋篠宮さまとそのご家族は内廷皇族となり、「秋篠宮家」は独立の宮家として存続しないこととなる。「秋篠宮家」が30年近く国民に広く親しまれてきたことを踏まえれば、秋篠宮さまはあえて「皇太子」などの特別の称号を定めることはせず、「秋篠宮家」の当主としてのお立場を維持していただく。
その際には、皇室典範上の「皇嗣」として皇位継承順位第1位であることが広く対外的にも明確となるよう、「皇嗣秋篠宮殿下」「秋篠宮皇嗣殿下」「皇嗣殿下」などとお呼びすることが考えられる。
国際的にもそのことが正しく理解されるよう、「皇嗣」の英訳に工夫を講じる。
2 事務をつかさどる組織
新たに「皇嗣職」を設け、「皇嗣職大夫」を置く。
3 皇室経済法上の経費区分
皇族費の額を摂政同様、定額の3倍に相当する額に増額する。
4 その他
皇籍離脱や摂政となる順位等は、皇太子と同様の特例を適用する。
【おわりに】
今上陛下の退位が実現され、皇太子さまが新たな天皇に即位されることとなれば、皇族数の減少に対してどのような対策を講じるかは一層先延ばしできない課題となってくる。
現在、皇孫世代における皇族男子は悠仁さまおひとかただ。内親王と女王は7方いらっしゃるが、天皇と皇族以外の男性と婚姻された場合、皇族の身分を失い、将来、悠仁さまと同年代の皇族がお一人もいらっしゃらなくなることも予想される。
国民が期待する象徴天皇の役割が十全に果たされ、皇室のご活動が維持されていくためには、皇族数の減少に対する対策を速やかに検討することが必要であり、今後、政府をはじめ、国民各界各層で議論が深められていくことを期待したい。
[時事通信社]

その他 特集記事